びまん性脱毛症(FAGAなど)
FAGAとは
FAGA(Female Androgenetic Alopecia)は「女性男性型脱毛症」と呼ばれており、女性に見られる薄毛症状を指しています。一般的に女性ホルモンが低下する40~50代から発症することが多いですが、20代や30代でも発症することもあります。額の生え際に症状がでやすい男性とは違い、頭頂部付近の薄毛や抜け毛がでやすくなるのが特徴です。
脱毛の進行パターンと進行度合いは「ルードウィッヒ分類」と称される3パターンの基準が用いられています。
女性の薄毛はFAGAの他、ストレスから生じる円形脱毛症、髪を引っ張ることで生じる牽引性脱毛症、出産後に生じる分娩後脱毛症もあるため、正確な診断のためには医師の診察を受けることをおすすめします。
ヘアサイクル(毛周期)
髪の毛の成長にはヘアサイクルと呼ばれる一定の周期があり、通常のヘアサイクルは約1000〜2000日かけて1周します。
このヘアサイクルは、大きく3つの段階で構成されています。
・成長期(2-6年)…髪の毛が最も活発に育まれる
・退行期(2-3週間)…髪の毛の伸長が止まり毛包が退縮していく
・休止期(3-4カ月)…毛包の活動が停止する
さらに成長期は「早期」「中期」「後期」の3段階に分かれています。
原因
FAGAは一般的にはホルモンバランスの乱れによって生じると言われています。エストロゲンという女性ホルモンには育毛・発毛を促す作用がありますが、30歳前後から低下し始め、40代半ばから顕著に低下していきます。40代~50代の更年期前後に発症が多いのはそのためです。また、女性ホルモンの低下に伴い、男性ホルモンの比率が高まることも影響しています。
ホルモンバランスの乱れによってヘアサイクルの休止期が延長してしまうため、髪が抜け落ちた後に新しく生えづらくなってしまい、薄毛へと進行していってしまうのです。
治療方法
FAGAは、AGAの治療では第一選択となるフィナステリドやデュタステリドは効果が乏しいと言われています。そのため、FAGAの治療では、「生活指導」、「サプリメント」、「ミノキシジル」、の3つを症状や生活スタイルにあわせて選択していくのが基本となります。
▶ 生活指導
有酸素運動〇、お風呂〇、タンパク質摂取〇、睡眠時間の確保〇、たばこ×、アルコール×、カフェイン✕、紫外線✕、過度なダイエット✕、など
▶ サプリメント
食事の補助として、不足している栄養素もしくは多く必要な栄養素を重点的に摂取
メチオニン(髪の元となる)、亜鉛(髪の生産を補助)、ビタミンB群(亜鉛の働きを補助)、鉄(吸収を補助)、など
▶ ミノキシジル
血管を拡張させて血流を改善することで栄養を届けやすくし、毛母細胞を増殖させます。外用薬と内服薬があります。*未成年者、妊娠中の方、授乳中の方、は使用できません。
外用薬…内服より効果は弱いが副作用は少ない。市販薬でも存在する。
《副作用》頭皮の発疹や発赤、かゆみ、かぶれ、など
内服薬…効果は高いが量に比例して副作用が出やすくなる。クリニックでのみ販売。
《副作用》頭痛、めまい、動悸、多毛症、など
ミノキシジルの内服により血圧に変動がでる場合があるため、低血圧の方や高血圧で降圧剤を服用中の方、心疾患をお持ちの方は注意が必要です。
直近で心筋梗塞を発症した方、腎不全や透析をされている方、褐色細胞腫がある方は服用できません。胎児や乳児に影響を与える場合があるため妊娠中および授乳中の方は使用できません。
*国内未承認医薬品です(詳細はページ下を参照)。
治療期間
どの治療を選択しても、ヘアサイクルの関係上、効果を実感するまでにはある程度の時間がかかります。早い人は3ヶ月ほどで効果を実感できますが、個人差が大きいため少なくとも6カ月は治療を継続することをお勧めします。
治療によって薄毛が改善されたと実感できた場合でも、治療を止めてしまうとFAGAが再発してしまう恐れがあるため、自己中断せずに医師と相談しながら治療の方法や量を調整して下さい。
治療開始後1-3カ月ほどの期間は、初期脱毛といわれる一時的な抜け毛の増加がみられる場合はあります。これは古い髪の毛が新しい髪の毛に押し出されるため生じる現象ですので、むしろ治療の効果が出てきていると捉えて下さい。
価格について
自由診療
1ヶ月あたり
毛髪サプリ 10584円(税込)
ミノキシジル 6600円(税込)
※使用する量によって値段は上下します
ミノキシジル(内服)の自由診療について
ミノキシジル(内服)は国内では医薬品医療機器等法の承認を得ていない未承認医薬品です。当院で使用しているミノキシジル(内服)はタイのT.O.MED社で製造されたものを個人輸入しております。国内ではミノキシジル(外用)が承認されています。ミノキシジル(内服)はアメリカのFDAに難治性高血圧の治療薬として承認されており、血圧変動、浮腫、心外膜炎、心嚢液貯留、心肥大および拡張、心筋壊死、出血性病変、狭心症悪化、心不全悪化、その他の予期せぬ重篤な健康障害が生じる可能性があります。(これらは降圧薬として使用する前提での研究データを参考にしているため、AGA治療に対して必ずしも当てはまるわけではありません)。